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梅仕事の季節

 今年も梅干しを漬けた。3度目の正直。
 一昨年、ゆうぽさんに手取り足取り教えてもらいながら初めて梅干しを漬けた。それまでの数年、ゆうぽさんから手作り梅干しを送ってもらいながら、梅干し作りってどんなことするんだろう?と思いつつも、平日家にいないと土用干しができないという理由で敬遠していた。しかし、ゆうぽさんの苦労や楽しさを知りたいという好奇心に負けて、ついに手を出したのだった。
 青梅の梅が2キロ。最初の2キロは追熟に失敗して漬ける前にすべてだめにしたので実際に購入したのは4キロ。専用のカメも重石も盆ザルもないので、掃除用のポリバケツ+漬け物袋、砂袋、手持のザルの組み合わせで、土用干しは職場の屋上に運んでなんとかクリア。自動車通勤なのでこういうことが可能なのはありがたい。梅の出回るタイミング、梅の選び方、追熟のタイミングと甘い香り、アク抜きの時間、塩加減に重石加減、梅酢があがったときのうれしさ、赤紫蘇との格闘にしたたる汗、パーッと赤く染まる梅酢の美しさ、梅雨明けを待つ心、日なた探し、土用干しの頭上に輝く真夏の太陽、炎天下にじりじり焼ける背中、ほかほかの梅干し。こう並べただけで、そのときどきのことをはっきり思い出すことができる。情報はネットにもたくさんあって便利だったが、その反面、いろいろな方法がありすぎて、どれを採用してよいのか悩みもした。夫に言わせれば「昔はどこの家でだって作ってたんだから、そんなに難しいことであるはずがない」だそうだが、なんたってこっちは「初めて」なのだから、まだ十分難しい。何から何まで試行錯誤の連続だったが、初めての梅干しがちゃんとできた。そうか、ゆうぽさんから届く梅干しは、こういう手間暇かけて作られていたのか。梅干しのお礼には地元キッコーゴのお醤油を半ダース送っていたけれど、そんなものではとても割が合わないではないか。ゆうぽさん、今まで知らなくてごめんねぇ。

 そんなことがあって、2002年夏、梅干し作りにはまった。何より、ゆうぽさんといっしょにできたことが楽しかった。同性の友人は普通にいたものの、この歳になるまで同性の友人とこういう形(うまく説明できないが)のつきあいというのはしたことがなかったので、そういう意味でもまた、初めての体験だった。飛び交うウメールを通して、今まで知らなかったゆうぽさんの一面も知った(笑)。ああ、ともだちっていいもんだなあ、こんな世界があったんだなあと、いい歳してウルウルした。でも、まだゆうぽさんに会ったことは一度もないんだけどね。
 まあそんなわけで、梅干し作りにはまった。調子に乗って、カスピ海ヨーグルト、ぬか漬けにも挑戦してしまった。どちらもだめにすることなく、今日まで続いている。大豆と麹を買って味噌も仕込んだ。梅干し作りをきっかけに、生活がちょっと変わった。

 2003年は、昨年の成功(とりあえず)に気をよくして生協の梅を5キロ、青梅の梅を4キロ仕込んだ。道具もそろえた。漬込用のタッパーウエアの容器も、入れ子になった盆ザルも買って、張り切って臨んだ。が、どちらも追熟に失敗し、かなりの数をだめにした。まだ青かったので数日追熟させたのだが、生協で買ったのはぶよぶよ梅に、高校時代の友人に分けてもらった梅は、しわしわ梅になってしまった。全滅でなかったところは去年よりたいした進歩だ。冷夏と雨で、土用干しがなかなか終わらなくてやきもきしたりもしたが、ぶよぶよ、しわしわを免れた梅たちはちゃんと梅干しになった。
 2年目は、南高梅、十郎梅、持田白梅、梅によって特徴があることを知った。青梅の持田白梅は、熟すと黄色くはなるものの南高梅のようなオレンジがかった黄色にはならなず、そもそも地元の人は青いうちに漬けてしまう。シソを入れるタイミングも、土用干しをしてからだ。梅のサイズは、大きければいいというものではないことも学んだ。毎朝ひとつずつ食べるには、LやLLサイズの梅よりもMの方が都合がいい。売っているシソの品質もいろいろあることを知った。去年のはどろだらけだったが、今年のはきれいな上に、葉も多く、質がよかった。塩漬け、シソ入れ、土用干しの、それぞれの手際も去年よりは格段に上達した。昔ながらの手順ではあるけれど、うまく合理化すれば手抜き、もとい、省力&省時間化できる知恵もついた。
 友人から傷がついて売り物にはならない梅(収穫のときに切り傷がついただけで、品質にはまったく問題なし)を分けてもらったので、10年ぶりくらいで梅酒も漬けた。友人直伝の梅酒のレシピは、焼酎1.8リットルにつき梅を2キロ、氷砂糖500グラムという、梅の里ならではのなんともぜいたくな梅酒だ。せっかくなので砂糖漬けも作ってみた。そのために本も2冊買った。作ってみたら、なんだ、簡単じゃん。でも、甘いものはあまり食べない方なので、ほとんどあちこちに配ってしまった。
 というわけで2003年はさらに深みにはまった。

 梅干し作りは、作り手によっていろんなやり方がある。焼酎の使い方、塩加減、シソを入れるタイミングと入れ方。また、土用干しは夜も干すのかそれとも夜と取り込むのか、何日干すのか、干し上がったあとは梅酢に戻すのか戻さないのか等々。いきなり干してから塩漬けなんて方法もあるらしい。それぞれの家庭の手前味噌ならぬ手前梅干しができるのだが、そんな中で、どのレシピを見ても必ず書かれているものの、ずっと気になっていることが3つある。ひとつは追熟、ひとつはアク抜き、もうひとつは容器だ。

 その1、追熟。
 まだ青い梅は必ず追熟しなくてはいけないのか。夫の記憶では、義母は青いうちに漬けていたそうである。青梅の友人も、青いうちに漬けている。追熟に失敗するとぶよぶよになる梅としわしわになる梅があるように、梅の種類によって違い、青いうち漬けてもよい梅と悪い梅があるのかもしれないが、そのことに触れたレシピは見たことがない。青いうちだと堅い梅干しができてしまうというのは本当だろうか。試してみたい気がするが、めんどうなので、たぶんやらない。

 その2、アク抜き。
 塩漬け前には水につけてアク抜きをする。一晩というのも丸一日というのも、数時間というのもある。要不要や時間は、熟し度合いによって分けたものが最も多い。黄色く熟したものは数時間でいいが、まだ青いときは一晩というのもあれば、熟していればアク抜き不要というのもある。どうしてもあく抜きをするのであれば2〜3時間で十分というのもあれば、南高梅は長くても30分〜1時間というように、南高梅を特別扱いしたものもあった。去年買った十郎梅はさらに特別扱いで、皮がやわらかくて破けやすいので水に漬けるなと書いてあった。そして、それを守った。アク抜きしなかった南高や持田白との違いは、わからない。皮がやわらかい梅にはアクがないことなのだろうか。そんなことはない気がする。しかし、そもそも、アク抜きはほんとうに必要なのだろうか、水に漬けることによって、アクは抜けているのだろうか。それ以前に、梅にはアクがほんとうにあるのだろうか。と、ここまで書いて気づいたが、砂糖漬けして出てきたシロップを火にかけたらムクムクとアクが出た。そうか、あるんだ。でもほんとにあれがアクか? でもシロップは火にかけないというレシピの方が多い。事前に水に漬けないものも多い。ああますますわからなくなった。あちこち見ていたら、唯一、「水につけてアク抜きをしますと、梅の酸が水に溶けだして、梅の実の葉緑素が分解され、だんだん表面が黒ずんできます。(黒ずみは特に仕上がりには問題ありません)」と書いてあるところがあった(紀州の木村農園の梅Q&A)。しかし、この3年の経験では、黒ずんでいることに気づかなかった。果たしてこの情報は正しいのか。ためしてガッテンでも目がテンてもジュニアスペシャルでもいいから、梅にはほんとうにアクがあるのか、あるとしたらアクとは何か、アクは絶対に抜かないとおいしい梅干しはできないのか、アクの量は熟し具合によって違うのか、アクの量は梅の種類によって違うのか、アクが抜けたかどうかはどうやって見分けるのか、アク抜きした水にはほんとうにアクがいるのか、以上について、実験と解説を願いたい。
 なお、今年は南高梅も青梅の持田白も1日追熟させた。もう一日待たなかったのは去年のように南高梅がぶよぶよ梅に、青梅のがしわしわ梅になってしまうのが怖かったからだ。南高梅はまだちょっと青かったんで一晩水につけた。青梅のは南高梅よりさらに青かったが4時間つけた。こっちの方が時間が短いのは、平日だったため翌日の作業ができなかったからだ。時間が短かったので、何度も水を取り替えてみた。気休めかもしれないけど、もしかしたらいい方法だったのかも知れない。でも、たぶん結果の違いはわからないだろう。
 アク抜きごときでこんなに長い文章になってしまうとは、驚いた。

 その3、容器。梅は酸か強いから陶器やほうろう容器を使いましょうと言われる。しかし、だ、売ってる梅干しのほとんどがプラスチック容器に入っているではないか。梅干しになってしまえば関係ないのだろうか? だいたい、プロは陶器かほうろう容器を使っているのだろうか?
 陶器のカメは味噌用に買ったの小さいのが一つあるが、重くて使う気になれない。味噌のように仕込んだあとはほとんど手のかからないものならともかく、梅干しに使う気にはなれない。ほうろうのは持ってない。今年使ったのはタッパーウエアの大きな容器と、漬物用に売っている黄色いプラスチック容器だ。安い。タッパーのは、高いだけあって、梅干しにもだいじょうぶだと宣伝している。しかも、重石を使わなくても梅干しができる(毎日シェイクしてやる必要があるが)。そうそう、これも不思議なんだよな。タッパーのレシピって味噌も重石を使わない。試してみたらどっちもできた。いまだに不思議だ。これもその理由を究明してほしいと願うものである。

 2004年の今年は3度目の正直。今年こそ、全滅もぶよぶよもしわしわもない梅干し作りをしたいものである。6月に入るとゆうぽさんとの間にウメールが飛び交った。今年のテーマは合理化だ。すでに塩漬けを終わり、生協で買った南高梅が4キロ、青梅の持田白が6キロの合計10キロがシソ入れを待っている。
 今年は梅酒も3瓶漬けた。こんなに誰が飲むんだろう。砂糖漬けも2キロ、夕べ仕上がった。床にシロップこぼしてベタベタにしてたいへんだったけど、去年の教訓を生かして種をしゃぶることはしなかった。砂糖漬け用にはあと2キロ冷凍中。冷凍すると自然に割れるので手間が省けるらしい。週末には試してみよう。
 去年は空梅雨と冷夏と日照不足で、お米も野菜も、土用干しもたいへんだった。今年は夏らしい夏であってほしい。

◇梅関連のページは山ほどあるが、今回参考にしたページ
 荻窪鈴木青果店の自家製梅干しちょっと良い話
 木村農園の梅Q&A
 田辺市農林課の梅干・梅酒・梅ジュース作りQ&A
 上富田町の青梅加工方法

  • JA紀南の梅の加工方法手引き
     JA紀州みなべ梅部会

    ◇ 一般家庭とはまったく違うが、梅干し製造過程がよくわかるページ
     梅の月向農園のバーチャル体験

    ◇おまけ
    2002年夏ゆうぽさんといっしょの初めての梅干しづくり覚え書き

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